大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ラ)610号 決定

抗告人が小学校入学以前から「多美江」の名を使用していたことは認めるに足りる資料はないが、記録添付の資料によれば、抗告人は早くから「ため江」の名が珍奇できたない印象を与えるものと思い「多美江」の通称を用い始め抗告人の昭和一九年度卒業写真帳写真説明欄に「山岸多美江」と記載され、抗告人が旧丸子高等女学校在学当時から右通名を用いていた形跡があり、(もつとも、卒業生住所氏名欄には「山岸ため江」と記載され、原審裁判所調査官の同校(現在丸子実業高等学校長)に対する調査嘱託回答によれば、当時抗告人が「多美江」の通名を使用していたかどうかは不明とされているが、それだけでは右通名使用の事実を否定するに足りない。)昭和二六年六月二八日株式会社精電製作所の株式を取得したとき取得者の氏名として、また昭和三五年六月一日東京精電株式会社の株式発行を受けたとき株主氏名としていずれも通名「水島多美江」が記載されており、昭和三四年度米穀販売者の販売台帳にも通名の「水島多美子」が記載され、その他昭和三五年から昭和三七年にわたる抗告人あてのはがき五通はいずれも右通名をあて名としていることが認められる。

これらの事審を総合すると抗告人はおそくとも昭和一九年ころから現在までほぼ二〇年にわたり、引き続き「多美江」の通名を使用し、社会的にもその通名が抗告人の名として通用し、その扱われていることがうかがわれないではないから、なおこの点について審理を尽し、かつ他に戸籍名を使用していなかつたかどうかについても審理して審判するのが相当である。

(牧野 浅賀 渡辺卓)

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